こんにちは、ラパンです。
この度、小川哲さんの「君のクイズ」を読みました。
本屋大賞受賞作品で、著名な方々が絶賛しており読みましたが、結論、非常に面白いです!
「1文字も読まれていないクイズになぜ正答することができたのか?」という不可解な謎をクイズや過去を紐解いていくことで解明していくミステリー作品です。
ミステリー小説やクイズが好きな方はもちろんドはまりすると思いますし、クイズにあまり興味ない方も楽しめる内容になっていると思います。
というか、クイズに興味がない人でもリアルなクイズの世界に触れることできっとクイズに興味がわくと思いますし、人間ドラマ?や人生観についてのメッセージ性もあり誰が読んでも面白い小説になっていると思います。
では、感想を書いていきます。
~作品情報~
題名:「君のクイズ」
著者:小川 哲
出版:朝日新聞出版
ページ数:189ページ
目次
- 決勝戦のクイズや人生を振り返ることで明らかになっていく真実!どんどん引き込まれていく超エンタメ作品!!
- 私が読んだ動機
- こんな人にオススメ
- 作品説明
- 主人公がクイズや過去を振り返るシンプルな構成ながら、様々な要素が重なり合いどんどん引き込まれていく
- クイズ回答者の思考やテクニックが存分に描かれており、リアルなクイズの世界にのめり込むことができる
- リアルなクイズの世界や謎解きだけではない、人間ドラマ?やクイズを通した人生観も魅力の1つ
- まとめ
1.決勝戦のクイズや人生を振り返ることで明らかになっていく真実!どんどん引き込まれていく超エンタメ作品!!
私が読んだ動機
- 2023年本屋大賞受賞作品だったから
- 帯で著名な方々が絶賛、推薦していたから
- 目を引く表紙だったから
こんな人にオススメ
作品説明
クイズ番組「Q-1グランプリ」決勝で主人公、三島怜央は対戦相手、本庄絆が1文字も問題が読まれていないうちにボタンを押し正解したことで、優勝を逃してしまう。
この不可解な事態に納得がいかない三島は独自に真相を解明しようとする。
本庄の過去について調べ、決勝戦の問題や過去の問題を振り返る中で三島は次第に真相に近づいていく……。
本庄から明かされる衝撃的な真実とは!?
「なぜ1文字も読まれていないクイズに正答できたのか」という謎を解明していくわかりやすいストーリーながら、クイズの世界もリアルに描かれており、どんどん引き込まれていくミステリー作品。
主人公がクイズや過去を振り返るシンプルな構成ながら、様々な要素が重なり合いどんどん引き込まれていく
「なぜ1文字も問題が読まれていないクイズに正答することができたのか」
実際にそんなことができるとは考えられないですよね?クイズ番組でもそんなことは起きませんし、起きたとしたら確実に「ヤラセ」が疑われるでしょう。
どうしてそんなことができたんだろうという時点でかなり心を掴まれました!
決勝戦で起きた事件後、主人公は対戦相手の過去を調べ、過去のクイズや決勝戦の問題を振り返っていくという言ってしまえばそれだけなのですが、それでもどんどん引き込まれていきました。
結末についてはネタバレになるため、控えますが私は少し複雑な気持ちになりました。
謎が面白いことはもちろんなのですが、どうしてこんなに引き込まれたのか考えた時にその要素は2つあると考えました。1つがクイズの世界のリアル感、2つ目が人間ドラマや人生観にも触れている所です。
詳しく説明していきます。
クイズ回答者の思考やテクニックが存分に描かれており、リアルなクイズの世界にのめり込むことができる
こんな不可思議なことがどうしてできたのか?という所にワクワクした事は確かですが、この謎1つで最後まで持つのかな、決勝戦の問題を振り返る中で中だるみして最後まで読み切れないのではないかと正直不安ではありました。
しかし、その考えは杞憂に終わります。問題を振り返っていく事こそがこの物語のキモなのだと読み進めていくなかで思ったからです。
決勝戦の問題や過去の問題を振り返る中でクイズプレーヤーの思考やテクニックがリアルに描かれていてそれが非常に興味深く、さらにそれがより物語に深みを与えているんです。
実際執筆にあたり、著者の友人のクイズプレーヤーの助言やクイズ王といわれる伊沢拓司さんの著作や動画が参考にされています。
私は問題文を読む中でクイズの回答が確定するポイントがあることはなんとなく知っていましたが、それでもクイズは知識があれば勝てる物だと思っていました。
しかし、クイズの強さとはそれだけではなくクイズを読み上げる人の口の動きに着目したり、場合によっては押し負けないように確定するポイント前で押し、答えを推理する力などそれ以外にも様々な要素からなっているのだとわかり、非常に奥が深いなあと感じました。
本書を読んでみると自分がクイズの世界に飛び込んでいる様な不思議な感覚におちいるはずです。
リアルなクイズの世界や謎解きだけではない、人間ドラマ?やクイズを通した人生観も魅力の1つ
物語の中で真相に近づくために問題や対戦相手の過去を振り返っていくのですが、その中で主人公の過去も振り返るタイミングがあります。
主人公の過去を通して人生観も語られるのですが、それには確かに!と共感する点が多くあり、背中を押されるような文言もあります。1つ紹介します。
「間違っていると思っていても、とりあえず口に出してみる。間違っているのは誤答することではなく、恥ずかしがって何も答えないことだ。〔中略〕誰かに笑われたって構わない。恥ずかしいという気持ちのせいで自分の可能性を閉ざしてしまうことの方がもったいない。」
小川哲『君のクイズ』朝日新聞出版、90、91頁
生きていく中で誤答することもあるけど、胸を張って生きていけばいいんだ、失う物もあるかもしれないけど、その代わりに別の可能性を手にすることができるかもしれないというメッセージを感じ、心が奮い立ちました。
誰もが生きていく中で世の中にあるクイズ(選択肢)に答えていくクイズプレーヤーなんだよというメッセージを強く感じました。(だから題名が『君のクイズ』なのかなと思いました。)
今後の人生に迷いがあるひと、人生の選択がなかなかできず悩んでいる人、過去に後悔がある人は特に自分に刺さる内容があるはずです。
エンタメ作品として面白いことはもちろんのこと、自分を鼓舞してくれたり、肯定してくれるメッセージ性もある不思議な作品になっています。
まとめ
クイズや過去を通して「なぜ1文字も問題が読まれていないクイズに正答することができたのか」という魅力的な謎を解明していくこちらの作品はただのミステリー小説ではありません。
リアルなクイズの世界を細かく描き、時には世の中のクイズを解き続けているクイズプレーヤーともいえる私達読者への人生観のメッセージもある非常に面白い小説でした。
誰もが、生きていくなかで日々答えのないクイズに解答するクイズプレーヤーなのです。「私はクイズに興味がない」というあなたも絶対に引き込まれる内容になっていると思います。
非常にオススメです、ぜひ読んでみてくださいね。
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